【Interview】城里町地域おこし協力隊・瀬川礼江の挑戦

城里町地域おこし協力隊の瀬川礼江(せがわゆきえ)は、協力隊の着任1年目から取り組んでいる活動があります。

 

猪の「皮」の獣脂除去をする瀬川さん

猪の「皮」の獣脂除去をする瀬川さん

それは、有害獣として町で駆除されたイノシシの皮の利活用です。
2017年度は、249頭ものイノシシが城里町内で捕獲・駆除されました。
26歳の、一見普通の女性である瀬川隊員はどうしてこの活動を始めたのか?
またどういうビジョンを思い描いて活動しているのかを取材しました!

 

瀬川 礼江(せがわ ゆきえ)のプロフィール

1992年7月3日 茨城県出身
山梨大学生涯学習課程芸術運営コース卒業。
2015年に就職した会社では文化施設の指定管理業務を担当した。
その後、2016年4月に茨城県東茨城郡城里町の地域おこし協力隊に転職。
その年に狩猟免許と猟銃所持許可を取得し、イノシシのレザーを使った活動を開始。

―まず最初に、どういうキッカケでこの活動を始めたんですか?

地域おこし協力隊の1年目に、町役場の人からのすすめで、「狩猟免許」と「猟銃所持許可」という2種類の免許を取得し、猟友会※1の方や狩猟にまつわる事に関るようになりました。
イノシシの解体やとめさし※2の現場にも連れて行ってもらい、解体に参加させてもらうようになったのが皮に注目したきっかけです。
ジビエ※3という言葉は知っていたので、解体した後はみんな仲良く分け合ったお肉を渡されました(笑)
どうやって食べていいかわからず最初のころはとまどいましたが。

イノシシの関節から骨をばらして、骨から肉をとって、、とやるわけなんですけど、私が関わらせていただいていたチームは体から皮をきれいにはがしていたんですね。皮は用途がないから、びりびりと個体からはがす人もいるそうですが。

なので、地面には皮がぼんと置いてあって。

自分で仕事をつくりたいなという願望もあったし、消えていった命がゴミ袋に入っていくのが、なんとなくもやもやしていたのでインターネットで調べ始めました。
そしたら野生獣であるイノシシも鞣(なめ)せることがわかり、試行錯誤を重ね、一つの事業として進めていこうと決めました。

※1 猟友会(りょうゆうかい):自然生態系のバランス保持・野生鳥獣と人が共存する上での適切な関係構築を目的に活動する団体。近年深刻化する、野生獣による農作物被害の防止も猟友会が社会的役割として担っている。
※2とめさし:檻やワナにかかったイノシシにとどめをさすこと
※3ジビエ:狩猟によって得られる天然の野生鳥獣の食肉のこと

捕獲されたイノシシの「皮」の処理のようす

捕獲されたイノシシの「皮」の処理のようす

―「皮」から「革」へ、はどんな過程で生まれ変わるのですか?

イノシシが捕獲されたあと、解体※4されます。私は皮をもちかえります。このままですと裏には分厚い獣脂の層があります(冬は更に「よろい※5」といって銃弾を貫通させないほどかたい獣脂部分があります)。
この獣脂がしっかり除去されていないと、革へ鞣した時に質の悪いものになってしまうので、できる限りこの獣脂をナイフでそぎ落とします。これが重労働!

そして、生ものですのでクール便で加工会社に送ります。

この過程を鞣し(なめし)といって、「皮」から「革」になり、腐ったりしない素材と変化します。

そのあとは、一般的な革でアイテムをつくる工程と同じようにカットしたり縫ったり、自由に加工できます♪楽しい!!

※4解体:焼却処分する際には小さくしなければいけないので、お肉を食べない場合も解体する必要がある。
※5よろい:皮下脂肪の中でも硬い部分で、冬に分厚くなる。夏にはほとんど見られない場合も多いが、冬にはよろい部分だけで数センチあることも。

イノシシの「皮」から、なめされて生まれ変わった「革」。

―現在は「皮」の利活用がメインで、狩猟はやらないそうですが、どうしてですか?

狩猟をやらないと決めているわけじゃないんですよ。
ただ、もともと、町で人との関わりを持つための1つの手段として狩猟免許を取ったので、狩猟に熱くなるまえに、革に熱くなってしまったというか。そんな感じです。

皮から革になるまでの過程として狩猟の経験も必要だなと感じることもあるので、今年は都合が合う時に狩猟にも行ってみようかなと思っています。
そのあとはもちろん皮を持って帰れるように、、、(・∀・)ニヤニヤ

あとは、実際に狩猟をやるとなると趣味としての熱をもっていないと金銭的にもなかなか続けられないなとも思っています。協力隊ほどの給料ですと正直そのために月々貯金してないと破綻しそうになります。(汗)
なので狩猟をする、レザーを極める、そのバランスを考えた結果、狩猟の技術に関しては今は力をいれていない、という感じです。
今後はわかりませんよ(・∀・)ニヤニヤ

 

―イノシシの増加、農作物への獣害、、、地方では大きな問題になっているけど、農家じゃない人からすると、とっつきにくく、重い問題だ、と感じる人も多いと思います。
瀬川さんは、どうしてヘビーな問題に向き合うんですか?

確かに。自分でもよくわかりません(笑)
ヘビーだと思う境界線も人それぞれだと思うんですけど、私にとってヘビーだな、と思うところはうまく遠巻きに見ながら進んでる感じです。
全て平気というわけでもなく、嫌いになりたくないので、無理はしません。

でも、関わっていく中で、もやもやすることがあって、何か自分にもできそうかも?という直感が働いて、うまくいくかわからない中でもイノシシの解体やなめし、小物づくりなどいろいろ挑戦してみた、みたいなところがあります。(当然避けたところもあります。)

最初は、生き物が死ぬ瞬間に立ち会って、なんとなく落ち込んだりすることもあったけど、今自分ができること、やりたいことを考え直して、素直に行動するようにしたらこうなりました。ある種向き合った結果なのかな?

―現在の目的、目標はどんなことですか?

海外ではイノシシの革は高級素材として扱われている地域もあるといいます。日本でも、もっとイノシシの革を選択肢の一つとして、作り手・買い手側共に浸透、定着させたいです。

そして、「イノシシ革のアイテム」を入り口に、城里町のこと、ハンターとして活躍している人や、増え続けるイノシシ、農作物への被害、ハンターの高齢化などの現状についてや、皮は廃棄せずに活用する方法があることなどを、多くの人に知ってもらいたいと思っています。

―具体的には今後、どんな方向性で活動する予定ですか?

具体的には、イノシシ革を活用したワークショップの実施や商品の販売、活動に関する講演など通して、イノシシの革を広める活動していきたいです。

そして、目的を達成するためには、まずは商品がしっかり売れなくては、という使命感があります。地域の人が誇りに思える1品にしたいんです。
皮を提供してくださるハンターの皆さんの誇りや励み、楽しみにもなってくれたらいいなぁと。

城里町でやってるイノシシの革カッコいいね、おしゃれだね、プレゼントに買いたい!などと言われるようになりたいです。

それはまだまだ努力が必要ですね!

瀬川さん作、カードを2つに仕分けできるカードケース

瀬川さん作、カードを2つに仕分けできるカードケース

この立場だから言えること、できる普及活動をしていきたい ー 瀬川礼江からのメッセージ

ニューハンター候補生の方々へ。
免許を取ったからと皆マタギにならなくてはいけないわけではないし、月に1回は練習に行かなきゃいけないとか、狩猟期間は土日は毎回狩猟に行かなきゃいけない、とかそういう強制力はありません。気負いせずに、できる範囲の「趣味」から始めていいんじゃないかなと思います。
「ベスト」と「ベター」をしっかり認識した上で伝えたいし、ハードルを高く持ちすぎず興味を持ってほしいなとは思います。
狩猟免許や猟銃所持許可を取り、狩猟などに関わっていく中で、命に対しての考え方、命を奪うことができる銃を扱うこと、など価値観は変わると思う。

狩猟免許を持ち、イノシシの「革」に関する活動をしているこの立場だから言えることとか、できる普及活動はしていければと思います。
のちのち、全国の他の地域でも同じような問題が出てくることが予想されるので、その先行的な事例になったらよいなとも考えています。

先にも言いましたが、革の種類は牛とかブタとかダチョウとか、色々あるけれど、一つの選択肢として、イノシシの「革」をもっと浸透させていきたいし、もっと使ってほしいと思います。
色んなクリエイターさんや飲食店、企業さんとのコラボアイテムなども作っていきたいし、ゆくゆくは皮だけでなく、脂も使えるようにと考えています。

なめされたイノシシの「革」で作った小物。デザインも自分で考えています。

 

長く続く事業にしていくために―茨城にUターンした、26歳の挑戦!

イノシシの「革」利活用に向けて、動き出した瀬川さんは今回、新たな挑戦をしています。
活動のための費用を確保するための資金集め活動、「クラウドファンディング*6」です。
趣味という枠を超えて、長く続く事業にしていくために、力を貸してください。

クラウドファンディング実施期間:2018/7/20~2018/10/15 18:00まで

茨城発、Uターン26歳の挑戦!イノシシ革ブランドsangrieをつくりたい(クラウドファンディングサイトへリンクします)

 

クラウドファンディングの出資者への返礼品になる予定のアイテム。独特の風合いと手触りです。

クラウドファンディングの出資者への返礼品になる予定のアイテム。独特の風合いと手触りです。

※6クラウドファンディング:不特定多数の人がインターネットを通じて、他の人々や組織に財源の提供や協力などを行う活動全般のこと


城里町地域おこし協力隊とは?

「地域おこし協力隊」とは、地方自治体が都市住民を受け入れ、地域おこし協力隊として委嘱し、一定期間以上、産業の振興に向けた取り組みや、地域づくり活動に従事してもらいながら、当該地域への定住・定着を図る取り組みです。

城里町では現在12名の地域おこし協力隊が活動中です。
詳しくは町ホームぺージをご覧ください。
http://www.town.shirosato.lg.jp/page/page003105.html