【Interview】スイーツのように甘い、ねっとりしっとりの絶品芋/『気まぐれ店主の芋屋』(北方)

城里町には、まるでスイーツのように甘く、ねっとり・しっとりとした『つぼ焼き芋』や、天日干しで作られ、綺麗な黄金色に輝く『干し芋』の生産・販売を行っているお店があります。それが、旧桂村(北方)にある『気まぐれ店主の芋屋』さんです。このお店の店主・井出光弘さんは、さつまいも(紅はるか)をこだわりの無農薬・無肥料の自然栽培で育てており、この紅はるかを、ご家族で壺焼き芋や干し芋へと無添加で加工、販売しています。
「今まで食べたお芋の中で一番美味しい!」と好評される井出さんのお芋。
そんな井出さんの、芋づくりにかける強い想いを、伺ってきました!

 

こんなに美味しいお芋は初めて!と言われるわけ

―まず、お店の看板商品『壺焼き芋』とは、どういう焼き芋なのですか?

壺の中でじっくり焼き上げます

「『つぼ焼き芋』は、その名の通り“壺”で焼き上げたお芋です。約90cmほどある壺の中に練炭を入れて中を熱し、その中にさつまいもを吊るして、約1時間かけ、焼き上げていきます。 一度に壺に入る芋の数はわずか20本のみで、一本一本を全て15分おきにひっくり返して、手間暇かけて焼いています。

芋をひとつひとつひっくり返す井出さんのお母さん

 芋は、70℃の温度帯が長くある程、酵素が働いてデンプンが麦芽糖に変わり、甘さが増していきます。壺焼き芋は、この温度帯が石焼き芋よりも長いので、石焼き芋よりも甘~い、お芋になるんです。
そして、焼き方だけでなく、焼く前に芋の『キュアリング』を行っています。これは芋の保存性を高くするために、芋を貯蔵庫に入れて高温高湿の状態にし熟成する工程で、その後、さらに2カ月ほど貯蔵しています。

糖度が上がり、蜜が出てくるものも

キュアリングを行うことで長期の貯蔵が可能となります。さつまいもは掘った時から糖化が進んでいくので、貯蔵するほどに甘みが増していくんです。キュアリングを行い貯蔵することで糖化を促進するこの工程と、さらに甘みの増す壺焼きがあって、スイーツのような甘さの『つぼ焼き芋』が出来上がります。
そして、食感が『ねっとり・しっとり』となるのは、自然栽培で芋を育てることが重要になってくるんです。」

 

周りの要望に応えているうちに、今のかたちに

―もともと、車の整備業を営んでいる井出さん。なぜ、『壺焼き芋』のお店を始めようと思われたのですか?

「大きなキッカケは、2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災を経験したことでした。その時、こういった状況下ではお金がただの紙切れになっちゃうんだと思い、食べものを作っているということが、一番強く、一番安心だと思ったことが、始まりです。
それと、近所に何も作物をつくっていない耕作放棄地が増えてきていて、一方で、日本の食料自給率は未だ低いままという現状がある。そこで、茨城県立農業大学校が開講している『いばらき営農塾』に通い、自分自身でも様々な農業の書籍を読んで勉強して、農業を始めました。そして、勉強していく中で、農業を無農薬・無肥料栽培でやりたいという想いが芽生えたんです。」

―そこで、育て始めた作物が、「さつまいも」だったんですね。

「元々は、車の整備業を本業としてやっていたので、比較的手のかからない「さつまいも」を、近所の耕作放棄地で栽培してみよう、と思ったんです。そして、出来上がったさつまいもをどうしようかと思った時に、ある人が、「昔は『つぼ焼き芋』というものがあって、それが美味しかったんだ」と教えてくれたんです。それで、普通だったら「つぼ焼き芋を買って食べてみよう」と思うところを、俺は食べるよりも先に、壺を買ってしまったんです(笑)楽天で壺が売っているのを見つけて…。それで、壺で芋を焼いてみたら、これが本当に、美味しかった!それを、知り合いにプレゼントしていたら、皆「これは美味しい!」と言ってくれて。近所のおばちゃんも、「60年生きてきて、こんなに美味しいお芋は初めて!」と言ってくれたんです。それで、周りからの要望もあり、『つぼ焼き芋』を販売してみよう、ということになりました。」
 

 

子どもに安心して食べさせられるものを作りたい

―農業を、『無農薬・無肥料』栽培でやりたいと思ったのは、なぜだったのでしょうか?

「『無農薬』でやっているのは、『子どもに安心して食べさせることができるものを作りたい』という想いがあるからです。うちの芋は、無肥料・無農薬・無除草剤なので、安心して皮ごと芋を食べていただけます。食物繊維の豊富なさつまいもですが、皮には、実の部分よりもさらに豊富な栄養素が含まれているので、『つぼ焼き芋』は、是非とも皮ごと食べていただきたいです。
それと、『無肥料』でやっているのは、もともと自分が育った家庭では無肥料で野菜を育てていて、無肥料でも野菜がとても美味しいということを経験から知っていたことが大きいです。自分自身でも、無肥料・無農薬・無除草剤でつくった自分の芋と、スーパーで販売されている芋の食べ比べをしたのですが、やっぱり、自分が作った芋の方が美味しいんです。
肥料をあげずに育てていることで、生命力の強い芋ができるんだと思っています。甘やかされずに生きている芋なので、頑張って生きようとしているのが、根の状態からも分かるんです。肥料を与えられ、甘やかされて育てられているものは、味がダラダラしている気がします。うちは、無農薬・無肥料のスパルタで育てることで、芋本来の良さを引き出しています。そして、それがまた翌年の苗となり、遺伝子の強い芋となって、受け継がれていきます。
育て方の違う芋を比較研究したように、芋の種類についても、何種類も育てて、一番美味しくできた芋の品種を選びました。『紅はるか』が一番美味しかったので、うちの畑では、この品種を育てています。」

 

―井出さんは、『干し芋』も作られているんですね。

「さつまいもを栽培すると、大きな芋から小さな芋まで個性豊かな芋ができます。そして、比較的小さめな芋をどうしようかと思った時に、『干し芋』づくりを始めました。干し芋は、蒸し器で芋を蒸して、ひとつひとつ丁寧に皮を剥き、天日干しで作っています。ほこりやチリなどがつかないよう、干した芋を丁寧にブラッシングしていて、芋の綺麗さにもこだわっています。」

一枚一枚、丁寧にパッキング

井出さんのつくる『干し芋』は本当に芋が綺麗で、作業を見学し、こんなに手間暇をかけ、綺麗さにこだわって作られているんだ!と驚きました。

 

 

 

 

―井出さんのお芋を食べたい!という方のために、販売時期等を教えてください。

  
『つぼ焼き芋』は例年11月頃から3月頃まで、干し芋は例年12月頃から3月頃まで、町内の直売所(ホロルの湯内直売所・物産センター山桜・道の駅かつら等)と、うちのお店で販売しています。
つぼ焼き芋は、焼いた後に冷ましてから真空パックに入れて販売しています。また、販売期間中はお店で芋を焼いているので、運がよければ、焼きたての『つぼ焼芋』を食べられることもあります。
真空パックになっているものは、そのまま食べても芋羊羹のようですし、温かくして召し上がる場合は、電子レンジで加熱して頂ければ、大丈夫です。」

 

今後も、やっていきたいことがたくさん!

―さらに、2017年(平成29年)の春には、新商品として『気まぐれ店主の芋ジェラート』の販売を開始されましたね! どういったキッカケで、ジェラートを作られたんですか?

「大きく育った芋を平干しの『干し芋』に、中ぐらいの芋を『つぼ焼き芋』に、そして比較的小さな芋を丸干しかスティック状の『干し芋』にしていたのですが、それでもさらに小さい芋があって、その使い道を見出せずにいました。それでも、自分の畑で育てたものは、やっぱり大切な大地の恵みであり、芋の味も他の芋に劣らず美味しいので、余すことなく使ってあげたかったんです。その方法として、加工してジェラートにしたらいいのではと思い、今回の芋ジェラートの商品化に至りました。壺焼き芋や干し芋と同じく、安心して食べられるものを作りたいという想いは一貫してあるので、ジェラートも、こだわりの“無添加”で作っています。」

しっかりと『紅はるか』の味が生きています!

芋ジェラートは2種類。蒸しあげた芋をジェラートにした『芋ジェラート』と、壺焼き芋をジェラートにした『壺焼き芋ジェラート』で、それぞれ1つ350円(税込)。
『芋ジェラート』は、さっぱりとした甘さで、控えめな甘さが好きな人に人気。 『壺焼き芋ジェラート』は、しっかりとした甘さで、甘いもの好きに人気です。現在は、城里町内のホロルの湯、物産センター山桜、道の駅かつらと、井出さんのお店で販売しています。

 

―今後の目標や計画があれば、教えてください。

「まずは、芋ジェラートの味のラインナップを、もっと増やそうと思っています。それと、新たなスイーツとして、スイートポテトの商品化も計画中です。そして、さつまいもの発酵食品というのも、新たに考え始めました。
それと、芋づくりとは別に、『大豆プロジェクト』と銘打って、在来種の種から大豆を収穫し、その大豆で味噌づくりまで行おうという企画も計画中です。
・・・やりたいことは、たくさんあります!(笑)」
井出さんのお話からは、芋づくり(農業)への情熱と、そして、芋(作物)への愛情が強く伝わってきました。 低GI食品(食後の血糖値の上昇が緩やかな食品)かつ、準完全栄養食品(健康維持に必要な栄養素を豊富に含む食品)と言われている『さつまいも』。抗がん作用が強いとも言われています。美容にも健康にも嬉しい栄養素が豊富に含まれ、それが、ねっとりしっとり、スイーツのような甘さになっていて…さらに、安心の無肥料・無農薬栽培で、こだわり抜かれて作られているなんて、最高の逸品です!『気まぐれ店主の芋屋』の絶品芋。毎年、冬が楽しみになりますね。
(これからは夏もジェラートで楽しめます!)
是非、井出さんのお芋を、召し上がってみてください。
※この情報は、2017年(平成29年)5月時点の情報です。

お話を伺った人

■『気まぐれ店主の芋屋』
店主・井出 光弘さん

店舗住所:茨城県東茨城郡城里町北方2200-2
電話:029-289-4632
営業時間:9:00~17:00
壺焼き芋の販売時期:例年11月~3月頃まで
干し芋の販売時期:例年12月~3月頃まで
その他販売店:ホロルの湯内直売所、
物産センター山桜、道の駅かつら 等
URL:https://www.facebook.com/kimaguretensyu/